|
私は、かつてギター小僧だった。なんて、言うとダイビング仲間は皆「えぇ〜?! うっそ〜!」
といった驚嘆の反応をする。
大学時代は、受験勉強の反動で、授業にも出ず、朝から夜寝るまで1日中ギターを抱いて
生活していた。僅かな仕送りとバイト代から生活費をぎりぎりに削り、エフェクター(エレキギター
の効果音を作る機材)を買い揃えていた。今、写真やビデオに向いている興味の対象が、
エレキギターに向いていた。あまりにも熱中しすぎて、大学を5年間通った程だ。(軽音楽系の
サークルの中ではマシな方だったが、)
私の音楽のルーツは、ハードロックだ。
中学高校生の頃(1970年代中〜後)ハードロックといえば、
レッドツェッペリンやディープパープルが
2大勢力で、多くの少年達がジミーペイジやリッチーブラックモアに憧れ、ギター小僧
となった。
でもあの頃の音楽情勢はどちらかといえば、ハードロックは一時的に衰退し表舞台は
パンクロックが台頭してきた時代だ。そんなパンク全盛の時代に、突然現れたヴァンヘイレン
は当時のギター小僧達には非常に衝撃的で、皆あの”ライトハンド奏法”の真似をしていた。
しかし、後の80年代に訪れるヘビメタブームはまだ遥か先の話で、
私の興味の対象は、70年代後半から登場してきたフュージョンへ向いていた。
今でも活躍しているカシオペアやスクエアがちょうどデビューした頃だ。
もともとハードロックギター小僧
の私は、フュージョンでもディストーションギターばりばりのスクエア(安藤まさひろ)、
プリズム(和田アキラ)、アルディメオラ等を好んで聴き、下手なりにギターの早弾きの
コピーをした。
当時はあまり実感しなかったものだが、80年代はフュージョンブームの時代だった。そして、
一時衰退していたハードロックが、ヘビメタブームとして復活した。軽音楽系のサークルに
所属しているといろんな音楽嗜好の友達も増え、自分の音楽の嗜好の幅も広がった。
というか、中学高校生時代は馬鹿にしていた歌謡曲やニューミュージック(今で言うJPOP)
も普通に聴けるようになった。いや、普通にというのは少し違うかもしれない、当時は日本の
フュージョン音楽界を支えていた大物プレーヤー達が、歌謡曲やニューミュージック
のバックミュージシャンとしも大勢名を連ねていた。松田聖子やユーミンの曲を聴いて、松原正樹(ギタリスト)
のギターフレーズをコピーして研究していたという具合だ。
今思えば、あの頃(80年代)は、日本にも海外にも、ロック界にもジャズ/フュージョン界にも凄い
若手ギタリストが大勢居たが、最近はみんなおとなし過ぎてちょっとつまらない。
最近ではTVからよく耳に入ってくる松本孝弘(B'z)とか春畑道哉(TUBE)のパンチのあるギタープレーは、結構
好きなんだけど、二人とも自分と同世代だというところが、より共感もてたりする。
一方、私のギター小僧人生は、5年間の大学時代が終わると同時に終わった。
自分には音楽の才能が無いとつくづく実感したからだ。
写真は素人でも、まぐれや偶然で良い写真が撮れることがある。でも、音楽ではまぐれや偶然で
名曲が生れることも名演奏ができることも絶対に有り得ない世界なのだ。
そしてダイビングや水中写真にはまるに従い、ギターを弾くどころか、新しい音楽を聴くことでさえ
遠ざかるようになってしまった。
最近、音楽CDが売れなくなったという。
理由はCD-Rが普及したからだという。
確かに、音楽CDをレンタルしてCD-Rに焼いてる人が多いのは確かだが、それは
今までは、テープだったりMDだったコピー先のメディアが置き換わっただけに
過ぎない。音楽CDが売れなくなった理由をCD-Rのせいにするのは、ちょっと
疑問だ。
若者に限っていえば、携帯電話の普及による通信料の負担増加の方が
大きい気がする。
マーケティングの世界ではどんな分野でもマニア層(ヘビーユーザー)は
およそ3%だといわれている。3%のマニア層は、絶対数こそ少ないが、
それにかけるこだわりや消費金額は半端ではなく、金額ベースの割合や
大衆層への影響力は決して無視できないユーザー層である。写真の世界
でいえば、一眼レフの最上位機種を何台(当然、交換レンズも多数)も
保有してるような人達だ。音楽の世界では、かつてのギター小僧時代の私のようなユーザー層だ。
マニア層に対し大衆層は、マーケットが大きいので、当たれば大儲けだが、
さほどこだわりもないので、移り気であり、購入動機も弱い。
音楽CDの世界では、大衆層偏重で3%のマニア層をあまりにも軽視してきた気がする。
今の私が、3%のマニア層に値する人間かどうかという話はともかく、
少なくとも私には音楽CD店(レンタル店も含む)はわざわざ足を運ぶ魅力が無い。
どこの店へ行っても同じような品揃え、あるものはどこの店でも山積みなのに
無いものはどんな大型店へ行っても無い!どこの店も大衆層偏重の品揃え、大型店は
それなりに全てのジャンルを網羅してるつもりのようだが、マニアから見れば全然満足に
足らないというラインアップだ。結局、私は、音楽CD店へ期待することを諦めてしまった。
昔は毎日のようにレコード店に足を運んでいたのに、今では1年に1度あるかどうかだ。
最も恵まれた環境の東京在住の私でさえ、こんな状況である。
地方在住者のマニア層が満足できているはずが無い。
私は、「スカイパーフェクTV」放送が始まって以来かれこれ5年「スターデジオ」
をずっと視聴している。「スターデジオ」には、100チャンネルの専門音楽番組があり
デジタル放送なので、そのままMDやパソコンにデジタル録音が可能だ。
特に100チャンネルもあれば、マニアックな私の音楽好奇心も十分満足させてくれる。
100チャンネルの内訳は
http://www.stardigio.com/
を見ていただくとして、自宅に居ながら、週替わりでさまざまな音楽が労力無く手に入る。
私の場合、パソコンに光デジタル入力でMP3に変換しながらHDD録音してる。もちろんソフトウエア
が自動的に曲間を認識して自動的に録音してくれるから、わずらわしさはまったくない。
本当に非常に素晴らしいシステムだ。
その素晴らしいシステムが故に、ずっと複製権侵害にあたるとしてレコード会社と裁判で
係争中であったが、昨年末よくやく「放送2次使用料」を支払う等の内容で和解した。
「スターデジオ」の視聴料は1200円/月(他のチャンネルも組み合わせたグループ契約もある)だが、
私には高すぎず安すぎない妥当な額だと思う。
結局は、この月々支払う1200円の中から正当に著作権者に使用料が支払われればまったく問題
ないわけで、特に私のように音楽CD店から足が遠のいてしまった人間が、月々1200円も
お金を使うようなシステムを音楽業界はもっと有効に活用して頂きたい。
最近は、インターネットや携帯電話で音楽を購入できるシステムもある。「スターデジオ」
に比べるとかなり割高感があるが、指名買いできる利便性は大きなメリットだ。
音楽業界側は、このような新しいシステムの普及にはどうもあまり熱心ではない。
つまり、不正コピーの蔓延を恐れているわけだ。
しかし私の立場で言わせてもらえれば、不正コピーで自分の好きな曲を
集めることなんて不可能なのだ。購入する気でCD店に行っても好きな曲が買えないのに
どうやって不正コピーものを見つけることができというのでしょう?もし可能だとしても、
その無駄な労力や時間のロスを考えれば、気軽な決済で、パソコンにダウンロードできる
システムの方が私には効率的で経済的なのです。今はそう考える人間は少数派かもしれないが、
全ての人間にそう思わせるシステムを音楽業界が作り上げれば、不正コピーの蔓延は
自然と無くなるに違いない。
ところで、不正コピーの話でいつも問題になるのが、「デジタルコピー」だ。
まるで、デジタルコピーは違法で、アナログコピーは違法では無いような印象をいつも受ける。
デジタルコピーそのものは著作権保護の本質とはまったく関係無い話のはずだ。
私的複製の範囲であればデジタルコピーは無限に可能にすべきだし、アナログコピーでも
私的複製の範囲を超えればそれなりの手続きに従うべきものだ。
MDが登場した時もMP3が登場した時も、結局はデジタル音楽機器(プレーヤー)やメディアの価格に
著作権者への補償金を上乗せするしくみをつくることで、デジタルコピーは合法化
されている。(著作権法第30条)
でも、今ではマルチメディアパソコンなんて普通なのにパソコンはデジタル音楽機器の扱いでは無い。
なので、補償金もなければ
デジタルコピーも無限である。(自主規制的に、光デジタル入力を外しているメーカーは多いが。)
”著作権”とか”補償金”という言葉は、非常に聞こえが良いが、たとえば、
無名バンドがコンサートを開き、観客100人がMDで録音したところで、MDの価格に上乗せ
されたいた観客100人分の”著作権者への補償金”がその無名バンドへ正当に支払われる
現実的なしくみは存在しない。
補償金に限らず、徴収されたいわゆる著作権料の分配も、かなりおおざっぱな
”どんぶり勘定”だ。結果的に有名なアーチストにはそれなりに公平に再分配されるが、
無名なアーチストには”たまたまサンプリング調査に引っ掛かった”かどうかで大きな不公平が
生れているのが現状だ。
音楽業界(機器メーカー含む)は、私的目的の複製でさえ不可能にするような技術開発
にとても熱心だが、著作権使用料(&補償金)の公平な分配すをるしくみを作る技術開発
にはまったく興味が無いようだ。
いったい誰の為の著作権なのだろうか?
音楽業界は、デジタルコピーを容認するかわり、妥当な(高過ぎず安過ぎず)著作権
料(&補償金)をしっかり徴収し、”どんぶり勘定”ではない正確なデジタル処理で、
完全公平な著作権料(&補償金)の分配を行い、どこのレコード会社にも所属しないような
無名なアーチストでも、本来の著作権が守られるしくみ作りにパワーを注いでもらいたい。
今でも不正コピーものを入手するには、それなりのコストがかかっているわけで、その分の
コストを正規の著作権料に当てれるようになれば、音楽業界もユーザーも両方ハッピーに
なれる気がするのだが。。。
(2003年02月26日)
|