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さて、今回は大マジメな写真の話です。
なんてたって、このホームページは「水中写真とシーサイドフォト」のホームページ
なのですからネ!
今のカメラには、当然のようにさまざまなオート撮影機能がついている。オートフォーカス
(AF,自動焦点)、オート露出(AE)、オートストロボ、等等。
このようなオート撮影機能がカメラに付くようになって、かれこれもう20年以上になる
のだろうか。技術はこなれオートの性能は格段と進歩したにもかかわらず、未だに
マニュアル撮影機能も残っている。しかも最新鋭のオート機能を備えた高機能カメラには
必ずマニュアル撮影機能も備わっている。
それは、なぜなのか?
それは、写真はカメラが撮るのではなく人間が撮るものだから。正確には、自分の意志で
写真を撮りたいというニーズがある限り、カメラからマニュアル撮影機能が無くなる事は
ない。(と信じたい。)
よく、「オートで撮影すれば、構図やシャッターチャンスに集中できるからマニュアルでは撮らない。」
いうカメラマンが居る。
確かに、これには一理ある。いつ訪れるかわからない決定的瞬間を狙うのであれば、自分もそうする
だろう。
しかし、この考えを写真撮影すべてに当てはめるのは、かなり乱暴、というかもったいない考え方
だと思う。
職業や趣味で写真を撮っている人は、どういうところに撮影する喜びを感じているのだろうか?
おそらく、自分でいろいろ構図を考え、シャッターチャンスを狙って撮ることには、ほぼ100%近い人が
撮影する喜びを感じているはずだ。そして、私はそれ以上に、露出計と過去の失敗作の記憶と
格闘しながら、光を読んで、影をどう創るか考えることに、撮影する喜びを感じるのだ。
オート露出(AE)で撮影するという事は、この「光を読むんで影を創る喜び」を放棄する事なのである。
もし、オート構図機能、オートシャッターチャンス機能というものまで備えたカメラが
登場したとして、そのカメラで撮影する喜びを感じることができるだろうか?
技術的には、究極のオートカメラである。防犯カメラやパパラッチカメラマンのような用途には
最適かもしれないが、趣味として写真を撮る事を楽しめるカメラではない。
「光を読む。影を創る。」という事を実践するには、「肉眼で自分が見ている実際の見た目」と
それが「どのようにフィルムに記録される」かという違いを正確に意識できるように
なる事が大切だ。
肉眼での見た目と写真の出来上がりが、全然違ってたという経験は、どんな人にもあるだろう。
たとえば逆光で記念写真を撮ったら、人の顔が真っ黒でぜんぜん判らなかった、といった場合だ。
実際の肉眼では、逆光とはいえ、人の顔も背景もはっきり見えていたはずだ。でも、フィルムには
ラチチュードといって、記録できる光の光量の幅が限られているから、どこかが必ず犠牲になって
しまうのだ。
しかし、これを逆手に利用することで写真の表現が豊かになる。肉眼では見えてる所でも
光で飛ばしたり、影で隠すことができる。こういうフィルムの特性を巧みに利用して
風景や被写体を実物以上に印象的なものに表現する事ができるのである。
フィルムのラチチュードとは、カメラの内蔵(TTL)露出計が、適正と判断した値から、プラスマイナス
約2.5EV(絞り)といわれている(ポジフィルムの場合)。ベルビアをよく使う自分としては、プラス側は約3EVではないかと認識している。左の写真は、内蔵露出計の適正値に対して、約2〜2.5EVプラスにして撮った
ものだ。太陽光線が波の波紋で、砂地に強く当たった部分は3EVオーバーで白飛びし、そうで無い
部分は、ぎりぎりの所で持ちこたえてハイキーな中でも魚がいることがわかる。
この約2〜3EVのハイライト部(明部)でどの位のディーテール(認識できる階調差)が再現できるのかがわかるようになれば、
ハイキー調の写真を自在に撮れるようになる。(と言うのは簡単だが、実際は測光することさえ難しく
なかなかうまくいかないのだ。。)
実際の屋外では、肉眼で感じている以上に明暗差があり、フィルムのラチチュードの範囲内に
収まらない事の方が多い。右の写真では、イグアナの頭の部分が内蔵露出計の適正値であるが、
背景の海は露出オーバー、イグアナの胴体の日陰の部分は露出アンダーである。
実際の見た目では背景の海も胴体の日陰の部分も普通に見えている。
露出の決定に非常に悩むケースであるが、こういうケースほど、コントラストが強い印象的な写真
が撮れるので、あえてこのような絵創りを考えて被写体や構図を探すのも楽しいのである。

赤い花には太陽光が直接当り、背景の木は日陰である。あえて、このような明暗差のあるシチュエーシ
ョンを選ぶことで印象的な写真になる。
肉眼では、ただの雑木林の中の赤い花としてしか見えていないが、光を読んでひらめく事ができるように
なれば、ありふれた風景の中でも写真を撮る事がより楽しくなる。
ハイキーな写真を撮る時、カメラの内蔵の露出計がプラス側に大きくふり切れて不安になるかも
しれない。でも、プラス1EVなら明るめだけど十分はっきり写り、プラス2EVでも、それなりに
ディーテールがあるので、自信を持ってシャッターを切って良い。 そして、3EV以上は、
5EVオーバーでも10EVオーバーでもフィルム上で同じ白でしかないので、あまり気にしない。
これは、炎天下の白砂浜の上を歩く黒っぽいイグアナだ。
イグアナを見つけた時点で、この写真のイメージ(砂地を白で飛ばして、イグアナを黒で潰す)
が頭に湧いた。
露出決めは比較的簡単だ。砂地のみを測光しプラス3EVでよい。イグアナは測光しなくても、
黒で潰れることは容易に推測できるからだ。
日の出日の入り前後の風景には明暗差が大きく段階的にばらついているので、露出決めは簡単だ。
極端な話、どんな露出で撮っても、それなりに写るものである。
これは、日没直後の風景であるが、私はこのような写真は、日没直後〜約20分間と前景の絵がセンスの見せ所だと思っている。
実はこの写真、実際の肉眼ではかなり暗く見えているのだが、空を思いっきり露出オーバーで撮っている。 でも、どんなに露出オーバーで撮ろうが、ヤシの木の影は絶対に影でしか写らないわけで、写真全体の
コントラスト差は維持されるのである。
これは完全に夜景である。
夜景の写真も極端な話、どんな露出で撮っても、それなりに写るものだ。
どんな露出でも光源の部分は、必ず露出オーバー(白)に、影の部分は必ず露出アンダー(黒)になるわけで
その間はそれなりに写るわけだ。
個人的には平均的に測光した値より1EV程度オーバー気味が好きである。
逆光の林の中は、肉眼で感じる以上に明暗差がある。
ハイライト部を飛ばす場合、ソフトフォーカス系のフィルターを使うとハイライト部の周辺がにじんで
幻想的な効果が得られる。ソフトフォーカス系のフィルターにはいろいろ種類が多く、それぞれにじみ効果がかなり違うので、いろいろやってみると面白い。(と言いながらここ数年やってないなぁ。)
これは水中の白っぽいイソギンチャクをストロボ光を当てて撮ったものである。
イソギンチャクは、やや黒っぽい砂地に生息しており、イソギンチャクのみにストロボ光を
当てることで、砂地を完全に影で消した。
イソギンチャクのみにストロボ光を当てると言うと難しく聞こえてしまうが、ストロボ光は
白っぽいものには強力に反射し、黒っぽいものには吸収されてしまうので、少しくらいストロボ光
が砂地に当たっても気にしなくてもいい。
ここまでは、銀塩フィルムカメラでの話だが、デジタルカメラではどうだろう?
デジタルカメラには液晶モニターがついて撮影前後に”絵”が確認できる。
つまり、露出に関する面倒臭い計算から開放してくれるわけだ。
しかし、液晶モニタで表示される画像がいつも”正”であるとは限らない。
モニターの調整がいいかげんであれば、失敗写真の原因となる。
しっかり調整できてたとしても、おそらくハイライト部やシャドー部の明暗の両極端な部分までディーテール確認する事は難しい。
そもそもデジタル画像は、何をもって”正(色や明るさの絶対指標)”とするものが
無い。パソコンでもCRTとLCDでは見え方が異なる、MACとWindowsではもともとのガンマ(階調
表現のカーブ)が違う。プリンタも機種の数だけ色があると言っても過言ではない。
そういう現状があるわけで、デジタルカメラ内臓の液晶モニタで、正しい色や明るさの再現を
期待する事自体がナンセンスなのである。
液晶モニタでの見え方の問題は、ビデオカメラにも同じように当てはまる。
ただ、ビデオの世界には一応、指標となる規格(日本ではNTSC)があるので、多少ましかも
しれない。
高機能のビデオカメラには、ゼブラという機能がある。これは、明るすぎて白飛びしている部分を”縞縞(ゼブラ)模様”を表示して警告する機能だ。
NTSCでは、輝度信号をIREという単位で表し、黒が0IRE、白が100IREとなる。
私の場合、100IRE以上の部分をゼブラ表示をさせるようにして、白飛びの箇所を判断する
ようにしている。
ちょっと話が難しくなってきて恐縮だが、最近のビデオカメラ(CCD)の性能は格段に進歩し
ダイナミックレンジ(受光できる輝度差の幅)が格段と広がった。私が最近使っている
Panasonicのハイビジョンカメラでは、上限は600IREまでもある。つまり、通常白とされてる
100IREのさらにプラス500IREの白の階調が記録できるというわけだ。もちろんこれは
CCDの性能であって、そのまま映像データとして記録されるわけではなく、プラス500IRE分
を押し縮めて映像データになる。そしてその”押し縮め”方が単純ではなく複雑かつ絶妙なのだ。
たとえば、ハイライト部のディーテールをしっかり表現したい場合もあれば
逆に、完全に飛ばしてしまいたい場合もある。設定は非常に面倒臭いが、そういうきめ細かな微調整を
撮影者の意図でできるという事で、より豊かな個性的な映像表現が可能になる。
最近は映画までもハイビジョンビデオカメラで撮影する時代になってきた。当然TV用のビデオと映画では
色調が違うので、ビデオカメラでフィルム風の色調を表現できるようガンマ調整等のさまざまなカスタマイズ機能で、独特の映像表現が可能になっている。
高画素デジタル(スチル)カメラも、そろそろこういったユーザーの好みでCCDの信号処理レベル
、つまり、A/D変換時の非線形量子化アルゴリズムまで踏み込んだカスタマイズ機能を組み込んもらえたら、
銀塩フィルムカメラ以上に写真撮影が面白くなるはずだ。
たとえば、「今回のガンマはコダクローム風。ハイライトのガンマは寝かせてみよう!」
とか「今度のガンマはベルビア風。ハイライトのガンマは立ててみよう!」
なんてやりながら、”絵創り”を楽しむのだ。
そこまでしないと、頑固な銀塩フィルムカメラ”マニア”は、デジタルカメラに満足してくれない気がする。
今回は、ソフトにまとめるつもりだったが、なんだかまた理屈っぽい話になってしまった。
まぁ、これも私の個性(味)だと思って勘弁してくださいませ。
(2002年07月23日)
(2002年09月19日追記)
Nikonの一眼レフデジタルカメラ「D100」を買ってしまいました。
まだ、いろいろ使い勝手をテストしている段階ですが、なかなか良い感触です。
嬉しいことに、”ガンマ”のカスタマイズ機能もしっかり搭載されてた。
ビデオでの”ゼブラ機能”に該当する”白飛び表示”、そして、液晶画面では細かい階調の確認は
無理なので、”ヒストグラム表示”機能でちゃんと確認できるようになっている。
さすが、一眼レフデジタルカメラともなれば、ちゃんと考えて作られてるなぁ、と感心します。
ただし、この”ガンマ”のカスタマイズ機能というものは、あくまでも、12bit量子化後のデータ
に対して施されるもののようです。 2002年9月現在でも、インターネット上ではD100ユーザーの
意見が非常に活発にやり取りされていて、「D100は、比較的露出はアンダー傾向にあり、シャドー部の
階調は豊富だが、ハイライト部は白飛びしやすい。」というのが大勢の意見のようです。
もし、”ガンマ”のカスタマイズ機能が、量子化”前”のアナログデータに施すことができれば、
「シャドー部の階調は犠牲になってもいいから、ハイライト部の階調を豊かにしたい」というような
カスタマイズができるのに、と思った次第です。
(2002年11月追記)
新コーナー「水中デジタル一眼レフカメラへのいざない」を作りました。
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