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宇宙人が地球にやって来ない本当の理由!?

久しぶりのエッセイで、いきなり”宇宙人が..”なんて事を書きだすと、「とうとうネタも尽きて、おかしくなってしまったか!」なんて 嘆かれるかもしれませんが、実は至ってまじめな、科学的な、そしてダイバーならではの視点での考察、いや学説なんですよ。

人間が環境を破壊し、地球のリズムがだんだん狂ってくると、 「かけがえのない美しい地球環境を守ろう!」 とか「無数の星が存在する広い宇宙でも、地球のような豊富な水やきれいな空気の 環境を持った星が誕生する確立は限りなくゼロに近いというほど、”地球は奇跡の星”である」 のような話をよく耳にする。

だとしたら、映画や小説の世界のように、本当に宇宙人が地球にやって来てもよさそう なのに、どうしてやって来ないのだろう? ひょっとして、地球は地球上の生き物にとっては住みやすい環境かもしれないけど、宇宙人にとっては とっても劣悪でとても住めたもんじゃない環境なのかもしれない。 なんて、ちょっと”あまのじゃく”思考の強い僕は考えてしまうのである。

まず、そう思う理由の一つは、”酸素”だ。 酸素は人間をはじめ生き物が生きて行くには必要不可欠なものである。という事は もしかしたら地球人だけの常識かもしれない。

46億年前に地球が誕生し、以来10億年程は地球は酸素のない星だった。 酸素のない地球は”嫌気性微生物(バクテリア)”にとっては非常に住み心地の良い環境であった。 やがて、海が誕生し藍藻が誕生すると、光合成により地球上に始めて酸素もたらした。 しかし、酸素こそ”嫌気性微生物”にとっては環境汚染物質そのものだった。 金属がサビてボロボロになるように、酸素はあらゆる物質を酸化し、破壊して しまう地球史上初めて誕生した猛毒ガスだったわけで、多くの”嫌気性微生物”を 絶滅に追いやった。 当時の地球にとっては、今人間が行っている環境破壊とは比較にならないほど 大規模な壊滅的な環境破壊だ。なにしろ大気の20%を猛毒ガス(酸素)に変えてしまった わけだから。46億年の地球史の36億年目の出来事だ。 しかし十億年の年月をかけ地球上の生き物は猛毒な酸素に対抗する能力を身に付け 進化し、やがて哺乳類、そして人類が誕生した。つまり、生き物は猛毒な酸素を克服する 為に、高度に進化するしかなかったわけだ。もし地球が酸素以外の猛毒ガスに覆われた星 だったら、人間はその猛毒ガスに対抗する能力を身に付け進化てたかもしれない。

一方、20億年間地球を支配した”嫌気性微生物”は、 闇の世界に追いやられ今では人間の作り出した環境汚染物質を分解し(浄化槽や下水処理場とか)、 人間の体内(腸内細菌)で人間の健康を守ってるというなんとも可哀そうな役回りである。

人類は、誕生以来ごく普通に酸素を呼吸し生きてきたから、酸素の毒性を 意識することはなかったわけだ。 ようやく最近は”活性酸素”が健康に悪影響を与えるとか、老化の原因になるとか、 ビタミン(A,C,E)を摂取して"抗酸化力"を付けよう、といった話題がTVや雑誌 で取り上げられるようになったので、少しは酸素の毒性や人間の抗酸化力については 身近に感じることができるようになったのではないだろうか。

”活性酸素”の話はわりと一般的になってきたが、”酸素中毒”という言葉を知って いる一般の人は少ないと思う。 ”酸素中毒”は、ダイバーにとっては”活性酸素”よりももっと身近な言葉である。 ダイビングの講習では、必ず”酸素中毒”について勉強をする。つまり、”酸素中毒”の 事を知らないダイバーはいない。その位、ダイバーにとって命にかかわる恐ろしい”中毒”なのだ。 ”酸素中毒”について簡単に説明すると、水中で高圧の酸素を長時間呼吸すると 神経系や呼吸器系に障害(中毒)が生じてしまうというものである。酸素の圧力が高ければ 短時間で、酸素の圧が低くても時間が長ければ危なくなる。 地上の大気圧下において、濃度60%の酸素(0.6気圧の酸素分圧)でも12時間で 酸素中毒の危険があるという。 ネズミを純酸素の環境下に置くと、2〜3日で死んでしまうという。 よくダイバーは酸素ボンベで潜ると思っている人がいるが、それは大間違いも甚だしい。 酸素ボンベで潜るとそれこそダイバーはあっという間に死に絶えてしまう。

数十億年もかけて酸素に対する抗酸化力を身に付け進化した地球の生き物でさえこんなありさま である。地球とはぜんぜん異なった環境で進化を遂げた宇宙人が、猛毒ガス(=酸素)に 覆われた地球にやって来よう思うだろうか?

そして、もうひとつ宇宙人の訪問を拒んでいるのでは?と思う要因は、地球の"重力"だ。 おそらく、宇宙人にとって地球の重力は大きすぎるのかもしれない。 「地球の重力は大きすぎる?」っていわれてもピンとくる人はほとんど居ないだろう。 でも、長年ダイビングをやっていると、時々「地球の重力って、なんてこんなに大きんだ!」 って感じる事がある。 ダイビングは普通1日2〜3回(それぞれ1時間程度/回)行うが、場所によっては 無制限ダイビングといって、1日5〜7回以上好きなだけ潜れる所がある。 つまり、寝てる時間を除けば、陸上に居る時間より水中に居る時間の方が長くなってしまう のだ。それを毎日毎日続けていると、疲労が蓄積するせいもあるが、陸上では非常に体が 重く感じるが水に入った途端、体が非常に楽になる事が本当に実感できる。トドやアシカ が陸上では重たそうによたよた動くが水に入った途端、機敏に泳ぎ周る、まさにそれと同じだ。 水に入って体が浮くと本当に”ほっ”とする。人間はもともと海の生き物から 進化したと言われているが、体内のDNAのどっかにその時の記憶が残っていると確信 できる瞬間だ。 そしてダイビングを終え、陸上に上がると、「地球の重力」が全身に重くのしかかるのが実感できる。

もし宇宙人が進化した星が、地球よりも重力が小さな星だったとしたら? 宇宙人はきっと地球の重力の大きさに耐えられないはずだ。 まあそれで死ぬことはないだろうが、普通の生活をするだけで極度に疲労し、とても快適な 生活を送る事はできないだろう。

しかし、宇宙人が進化した星が、地球よりも重力が小さい星だけとは限らない。 地球よりも重力が大きい星で進化した宇宙人にとっては、地球は体が非常に 軽くて快適に暮らせる環境になるはずだ。

でも、宇宙空間を飛び越え地球にやって来る程の高度な文明をもつ宇宙人は、たぶん 地球よりも重力が小さい星からやって来る確立が高い。「文明は、重力が小さいと早く進歩し、 重力が大きいとゆっくり進歩する」と書かれた本を昔読んだ覚えがある。その本は アイシュタイン博士の相対性理論をわかりやすく解説した真面目な実用本だったから それなりの根拠がある話だと思うのだ。

そして、重力は、先の”酸素中毒”の話にも大きくかかわってくる。 ”酸素中毒”は酸素の濃度ではなく、酸素の圧力が影響する。酸素濃度がどんなに 小さくても酸素分圧が大きければ”酸素中毒”の危険が増すのだ。 重力が大きくなれば大気圧も大きくなりそれに比例して酸素分圧も大きくなる。

もし人間と同じように酸素を呼吸する宇宙人が地球にやってきたとしても、 地球よりも重力が小さな星で進化した宇宙人の酸素中毒の耐性は低いに違いない。 つまり、地球の酸素分圧は宇宙人にとって酸素中毒の危険範囲だろうという事は 十分考えられる。

では、仮に抗酸化力を人間並に身に付け、地球よりも重力が大きい星で進化した 宇宙人が地球にやって来れたとして、問題は無いのだろうか?

考えられる事のひとつは、地球の重力の小ささが逆に仇となり宇宙人の体をもろくして しまう恐れがある。 宇宙飛行士が無重力でたった1〜2週間過ごしただけでも、筋肉が落ち、骨がもろく(骨密度が 減少)なるという話を聞いた事があるだろう。 ダイバーでも長年職業としてダイビングに携わると、骨がもろく(骨密度が減少) なる。ダイバーの場合、水圧の変化による影響も大きい(特に無菌性骨壊死の場合) わけだが、骨密度の減少は水中での浮力下で骨への刺激が少ないという要因も大きいようだ。 それは、運動選手は一般的に骨密度が高いなかで水泳選手は骨密度が低いというデータ からも明らかである。つまり、日常的な重力の刺激がほんの少し減少するだけで骨密度が 減少してしまうわけだ。

もし地球よりも重力が大きい星で進化した宇宙人が地球で体を維持するには、ボディビルダー のように常に体を鍛え続けなかればならないことになる。

いかがですか? この新説の「宇宙人論」 なかなか科学的でしょう! これは僕の知る限り今までどんな科学者も唱えたことの無いまったくオリジナルな「宇宙人論」なのだ。


(2002年05月11日)