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4〜5年前、僕は「トド」というあだ名をつけたことがある。
あの海獣の「トド」のような体形だという意味だ。
なんと失礼なんだろう! 僕は「これは脂肪じゃなくて筋肉だ」と
反論したが、笑飛ばされてしまった。
確かにあの当時は仕方なかったかもしれない。
でも、もっと以前(14年〜)は、本格的なウェイトトレーニングに
取り組んでいた事があるのだ。
大学時代、僕はスポーツクラブのジムでアルバイトをしていた。
格好良くいえば、ジムのインストラクターだ。
本当は会員としてジムに通いたかったのだが、貧乏学生だったので
アルバイトとしてジムに潜り込んだのだった。
ジムの同僚にはボディビルダーが2人(一人は元プロレスラー)いて、
指導方針として、勤務時間外であれば自由にトレーニングしてよし、
勤務中でも会員のトレーニングパートナーとして一緒にトレーニング
してよし、という方針だった為、徹底的にトレーニング理論や技術を叩
き込まれた。
社会人になっても、トレーニングの習慣が身についていたので4〜5年間
はスポーツクラブに通っていた。その頃のダイバー仲間には「ハルク」とか
「ランボー」とか「弾丸」とか、と呼ばれていた。
「ハルク」とはあのハルクホーガンのことだ、「トド」比べればずっとマシだ。
そして1993年か1994年頃、個人的にパソコン(Macintosh LC475)
を購入したのをきっかけに、完全にトレーニングから遠のいてしまった。
家庭用のパソコンでもようやく高画質な画像処理ができるようになり、
こっちの方にのめり込んでしまったのだ。
それから、7年後の昨年(2000年)10月、スポーツクラブ通いを再開した。
理由は、体力の維持、特に”腰の強化”が最大の目的だ。
水中カメラマンには”ギックリ腰”が多いというのは、かなり前から
意識していた。それよりも、大きな動機付けになったのは我がアクアジグラ
フィックで採用している業務用水中ビデオカメラなのだ。
写真用の水中カメラは、重くてもせいぜい一式10kg、3台持っても
”たかが30kg”である。一方業務用水中ビデオカメラはビデオライトと
合わせると40〜50kgの重量となる。そしてこの40〜50kgっていう
重さが曲者なのだ。
もし70〜80kgなら必ず2人以上で運ぶだろう、でも40〜50kgだと
1人でもなんとか運べてしまうから、つい無理をしてしまうのだ。
今はまだ体力があるからいいとしても、5年後、10年後はさすがに自信
が持てなかった。体力が衰える前に、もう一度ジムで鍛え直そうと決心
したのだ。
ところで、最近は「ウェイトトレーニング」の事を「レジスタンストレーニング」
と呼ぶ。トレーニング理論もかつて(14年前)と比べて新しい考え方
(昔の非常識が常識となり、常識が非常識となる)にだいぶ変遷していて驚いた。
しかし、腰を強くするには筋肉を強くするしか
ないという点とレジスタンストレーニングにより骨は強くなる(骨密度が高くなる)
という点に関しては、昔も今も考え方は変わらない。
もし、あなたがダイバーなら、老若男女問わず「レジスタンストレーニング」をお勧め
したい。
ご老人の方でも、「レジスタンストレーニング」は寝たきり防止に非常に有効だと
最近はいわれている。年をとっても筋肉は鍛えると強くなるのだ。
しかし、「レジスタンストレーニング」は一歩間違えれば怪我をしやすいので
注意が必要だ。最初は必ず指導者、経験者の指導を受けて欲しい。
僕も若かりし全盛期の頃でも、何度も「腰」「肩」「手首」「膝」等の関節を傷めた
経験がある。頭ではわかっていても、ついやってしまうものだ。
トレーニングを再開して1ヶ月たった頃、不覚にもまた過ちを犯してしまった。
しばらくブランクが空いてトレーニングを再開する時は、様子を見ながら
控えめに行わなければならない。眠っていた筋肉が目覚めるのに時間が必要なのだ。
自分の経験から、週1〜2回のトレーニングで約1ヶ月だという認識をしていた。
ちょうど、その1ヶ月が経過したある日、「もう本格再開して大丈夫だ!」と過信して
気合を入れて背筋(主に脊柱起立筋)を鍛えたのだった。
不幸はその2日後に襲ってきた。
トレーニング翌日から、連休を利用してダイビングへ行った。初日は特にダイビングには支障
はなかったのだが、その日の夜から、なんとなく腰が重くなってきた。そして、
翌朝には、筋肉痛というより、神経を刺激するような腰痛に変わっていた。それでも「この程度
の腰痛ならダイビングには関係ない!」と無理して、1本目を潜った。しかし、
これがトドメを刺してしまったようだ。”超”激痛が腰を襲って来たのだ。とにかく前屈
姿勢を少しでもとると腰に激痛が走る。身動きがまったくとれない。人から伝え聞いた
”ギックリ腰”の痛みその
ものだった。未だかつて経験して事のない激痛だ。それ以上に、自分の認識の甘さが
歯がゆかった。腰周りの背筋のトレーニングがいかに難しいものなのか、僕は充分認識
しているつもりだった。それがこのありさまだ。本当に”不覚”だった。
さらに、直面した問題は、もっと深刻だった。「この痛みでは、明日から会社にも行けない」
と真剣に悩んだ。子供の頃から風邪等の病で学校や会社を休んだ事など一度もなかった。
そんな自分が”ギックリ腰”で会社を休むという事は、至上最悪の”屈辱”だと思った。
しかし、僕はまだまだ若かった!
翌日には痛みは和らぎ日常生活では支障がなくなった。
3日後には、何事もなかったかのようにジムでトレーニングをした。それから3ヶ月、
特に故障もなく順調だ。
(2001年1月31日)
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