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水中カメラマンは腰が命(1)

カメラマンに必要なものは、何だと思いますか?
センス?それともテクニック?
では、”水中”カメラマンに必要なものは?

もちろん、答えはひとつではありません。
でも、水中カメラマンには、特に”強い腰”が大切だとつくづく感じる のです。
プロの水中カメラマンに職業病があるとしてら、それは絶対”腰痛”で はないだろうか。いわゆる”ギックリ腰”を経験されたプロ水中カメラ マンは非常に多い。僕の知る限り、”ギックリ腰”を経験していない プロ水中カメラマンはごく一部の若手カメラマンに限られる。その 若手カメラマンもいずれは必ず”ギックリ腰”を経験するはずだと 僕は確信しているのだ。

では、なぜ水中カメラマンは腰を痛めるのだろうか?
原因の一つは、撮影機材の重さである。水中写真用の撮影機材は 防水耐圧構造の為に、非常に大きくて重い作りになっている。
昼間の水中撮影でも水中ストロボ(これも大きくて重い)を使用するのが 普通だ。しかも水中カメラ1台に2台の水中ストロボを付けるのが、一般的な 傾向だ。水中カメラ&ストロボ一式で、6kg〜10kgの重量になる。
そして、水中ではレンズ交換ができない、フィルム交換ができない等の 理由で水中カメラマンは一人で何台(通常2〜3台)もの水中カメラを 持ち込む。
また、水中撮影は非常に機材トラブルを伴いやすい。ちょっとした不注意で 機材が水没する恐れがある。失敗が許されないプロは当然予備の機材も 必要だ。結局、ロケの荷物の総重量が一人分で60〜80kgになってしまうのだ。

これは水中写真用の機材の話で、水中ビデオ機材になるともっと大げさに なる。特に業務用ビデオの水中機材は、水中ビデオカメラだけで40〜50kg、 これにビデオライト(軽いものでも5〜8kg、ほとんどがバッテリー)が加わる。

腰を痛める理由に、ダイビングそのものの本質的なところにも原因がある。
重量という点では、ダイビング装備そのものが非常に腰に負担を与えている。

ダイビングをよく知らない方に少し説明しよう。まず、なんといっても 空気タンク(ちなみに、酸素ボンベではない)、素材や容量にもよるが だいだい10〜15kg位、あとホースやレギレータ(口にくわえるやつ) 、BC(浮力調整機)、その他もろもろ(マスク、フィン等)で3〜5kg、 そして極めつけは、ダイバー自身の浮力(主にウェットスーツ)を打ち消す 為に5〜10kgの鉛塊をウエイトベルトに付けて腰に巻きつけるのだ。
寒い海に潜る時は、ドライスーツというものを着るのだが、この時に付ける ウェイトは、15〜20kgになる時もある。
これに、水中カメラ2〜3台を加えると、総重量は。。(各自計算して くだされ)

「でも、装備は重くても、水中は無重力なんでしょう?」って、疑問を持たれる 方がいるでしょう。しかし、実際は水中は無重力ではありません。浮き上がろう とするプラス浮力と沈もうとするマイナス浮力が ちょうど釣り合っているだけなのです。そしてマイナス浮力のほとんどが ウエイトベルトにより、腰に一局集中しているのです。

ここで、潜水医学の話を少し。
潜水により身体に及ぼす障害のひとつに、無菌性骨壊死というものがある。
ダイビングによる水圧の変化が長年に渡り繰り返されると骨が壊死というもの。
ただダイバーなら誰もが骨壊死になるというものではなく、過酷な潜水 を繰り返した一部のプロダイバーにみられる障害だといわれている。
しかし、骨壊死になるのは特殊なダイバーに限られるとしても、一般的に 長年ダイバーやっていると骨密度が低くなる傾向にあることは現実として 認めざるを得ないようだ。

こういう書き方をすると、水中カメラマンは身体をボロボロにしてしまう 職業のように思われてしまうかもしれない。
いや、その通りだ。しかし、心だけ次第で、腰は強くできるし、骨密度も 高くできる。少なくとも僕はそう確信しているし、成し遂げようと思って いる。(続く)
(2001年1月30日)