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2002年11月18日

デジタル写真論

RAWとJPEGの違いを理解する


    ■RAWデータとは?

      ハイエンドクラスのデジタルカメラの特徴として、画像記録フォーマットに RAWデータ形式をサポートする点があります。
      RAWデータ形式という標準化された規格があるわけでは無く、自然とメーカー各社 ともRAWデータ形式という呼び方が定着してきたものようです。
      RAWデータ形式は標準化された規格では 無いため、同じRAW形式という名でも、メーカーが異なればまったく互換性の 無いファイル形式です。 (つまり、各メーカーが提供している専用ソフトが無いと画像が表示できない。)

      RAWとは、”生”という意味から CCD(または CMOS)からの出力信号を 単純にデジタル化しただけの”生のデータ”という意味です。
      もう少し詳しく説明するとCCD(または CMOS)の各画素はモノトーンの階調情報しか 得る事しかできません。そこで、カラーフィルターを組み合わせることで、各色毎の 階調情報から色を作り、カラー画像を作り上げています。
      RAWデータとは、 この一連の画像処理を行う以前の生データを記録したファイル形式なのです。
      そして、このRAWデータをパソコンで扱う為にメーカーは独自のRAW現像ソフトを 供給し、そのソフトでRAWデータを開いて画像を表示させる事を現像処理と呼んでいます。 この場合、デジタルカメラの役割は、RAWデータを作り保存する(LCDでの画像表示は簡易再生) ことで、最終的な絵作りの画像処理はパソコンソフトの役割となります。

      RAWデータに対し、JPEGデータは、デジタルカメラ側で画像処理を行いカラー画像を作り上 げ、それを小さいファイルサイズに圧縮したデータです。

    ■カラー画像の作られ方

      カラー画像を評価する際に、まず”記憶色””期待色”という概念を十分理解しなければ なりません。
      撮影者がある風景や被写体の写真(フィルムでも、デジタルでも)を撮った時、その時の 状況が撮影者の脳にも記憶されます。その記憶された色の事を”記憶色”と呼びます。
      そして、その撮影した写真(フィルムでも、デジタルでも)は、「きっと、こんな風に撮れてる はずだ。こんな色だった。」と頭の中で思い描いて期待します。その期待された色の事を”期待色”と呼びます。
      そして、ここで重要な事は、”記憶色”も”期待色”も本来の真の色とは異なる色である事です。

      一般的に、風景写真のような例では、”記憶色”は本来の色より誇張されているものです。 つまり、「本来の風景をより忠実に再現した写真」より「本来の風景をより誇張(色を鮮やかに、 コントラストを強調)して再現した写真」の方が、自分の脳に記憶された風景に一致して いると感じるのです。
      こういう人間の生理的な特性がある為、フィルムメーカー、写真現像所、印刷所、そして デジタルにおいては、デジタルカメラメーカー、CCD(CMOS)メーカー、画像ソフトメーカー、 プリンタメーカー等は、真の色を忠実も再現をする事よりも、”記憶色””期待色”をいかに ”本物らしく再現する事”に重点をおいて、研究しノウハウを蓄積させてきたのです。
      しかし、この”記憶色”や”期待色”というものは、個々の個人によってまったく異なるもので 、それこそ”個人の好み”であり万人ずべてに受け入れられる色作りの標準化という事は無理な話です。
      そこで、フィルムではさまざまな発色の特徴のあるいろいろな銘柄があり、現像所では高度な要求に 応じられるプロラボが存在し、印刷所では色校正でクライアントの細かな要求に応えてきたのです。

    ■RAWデータの登場

      デジタルカメラの登場により、ユーザーは自分の好みのフィルム銘柄を選ぶ事も、フィルム現像所を 選ぶ事もできなくなりました。つまり、デジタルカメラを購入した時点で、最終的に得られる写真画像 の質(色再現の傾向)まで決められてしまうのです。

      ローエンドからミドルレンジのデジタルカメラでは、画像データはJPEGで記録される ものが主流でした。つまり、デジタルカメラ側で勝手に絵を作り上げていたのです。
      もちろん、各メーカーなりにターゲットユーザーが好むであろう”記憶色”や”期待色”を 想定して絵作りをしているのです。

      特に写真が趣味というほどでもない多くの一般ユーザーの方々は、もともとフィルム銘柄 や現像所を選ぶというほどのこだわりを持っていなかったでしょうから、購入した デジタルカメラの作り上げた絵 がよほど期待はずれのもので無いかぎり、不満は無いでしょう。
      しかし、ハイエンドクラスのデジタルカメラの登場により、購入者がもともと写真を趣味を 趣味としていたマニアやプロが購入するようになり、写真画像の質(色再現の傾向)の細部に 及ぶ細かい事までいろいろ要求するようになったわけです。そこで登場したのが、RAWデータ形式なのです。
      つまり、デジタルカメラのメーカー側は「絵作りにはいっさい口を出しません。あなたの欲しい絵 は、あなた自身の好みでご自分で作ってください」という立場でユーザーに提供したデータ形式が RAWデータ形式なのです。
      RAWデータとは、料理に例えれば、料理の素材そのもの。下作りも、味付けもまったく何もなされ ていない生の素材そのもの。それをどう料理するかを決めるのも、料理をするのもすべてユーザー 自身なのです。
      一方、JPEGデータを料理に例えれば、食卓に出されたの調理済みの料理そのものになるでしょう。

    ■RAWデータ、JPEGデータの長所と短所

      RAWデータは”料理の素材”JPEGデータの”調理済みの料理”といった特徴があり、 それぞれに長所、短所があります。
      RAWデータの長所は、なんといっても撮影者の思いのまま絵を作りあげる事ができる点です。
      そして、RAWデータを破棄しない限り、何度でも作り直しができる点です。
      JPEGが8bitデータであるのに対し、多くのメーカーのRAWが12bitデータである点も見落とせない 特徴です。

      RAWデータの短所は、取り扱いの大変さ、データ量の大きさでしょう。撮影者の思いのまま絵を 作りあげるという事は、それなりの知識とノウハウがなければできない作業です。料理の経験の 無い人に、どんなにいい素材を提供してもおいしい料理ができるわけないのと同じで、RAWデータ を上手に扱えるようになるには、それなりの画像処理の知識とノウハウが必要になります。
      そして、RAWデータのファイルサイズは、1ファイル5MBから10MBと大きく、画像データの保存 やバックアップが大変です。JPEGに比べ撮影可能枚数が極端に減ってしまうのも大きな欠点です。

      一方、JPEGデータの長所は、取り扱いの簡単さ、データ量の小ささでしょう。
      とりあえず、無難な画像のJPEGデータをデジタルカメラは生成してくれます。しかもある程度の 色あい、コントラスト、シャープネス等の好みをカメラに設定して反映させる事もできます。
      JPEGは圧縮率も高いので、、画像データの保存やバックアップもそれほど場所をとりません。

      JPEGデータの短所は、絵作りのやり直しができない、という点です。
      JPEGデータは"調理済みの料理”と同じで、作り直しができません、調味料を加える 程度のちょっとした味付けの細工はできますが、だいたいにおいて悪い結果(画質の劣化) を引き起こします。


JPEGデータの生成とその扱れ方

RAWデータの生成とその扱れ方
(.NIF形式はNikonのRAWデータファイル形式)


    ■RAW?or JPEG?どっちで撮るべきか?

      ではいったいRAWとJPEGのどっちで撮ったらいいのでしょう?
      作品作りにはRAW、スナップにはJPEG
      というのが、一般的な路線でしょうか?
      フィルム撮影で、リバーサルフィルムを使って撮っていた人ならRAW、ネガで撮ってスピード ラボで現像してたような人ならJPEG、というような使い分けが目安になる気がします。
      作品作りにはRAWというのは、絵作りの自由度という点もありますが、高品質な状態での 素材の保存という重要な意味があります。
      現在、パソコンで表示できる画像は8bitまでです。12bitのRAWを扱っているソフトも 内部処理は12bitを維持していてもパソコンで見てる表示は8bitのものです。なので 見た目は「8bitも12bitも変わらない」という印象を与えてしまうのですが、素材の 品質では雲泥の差があります。8bitと12bitの4bitの差は、データの緻密度では16倍 も違うのです。一部の上級モデルでは16bitのRAWのものも登場してきました。8bitと16bitでは 256倍も情報量が違うのです。
      将来のパソコン周辺環境の進歩を考えれば、今はあまり差を感じなくてもRAWで保存 しておいた方が将来の可能性に備える事ができる。という大きな意味があります。

8bitと12bitの16倍の情報量の差は下図のような階調の差になります。

8bitデータ(JPEG)の情報量

12bitデータ(RAW)の情報量


(余談1)RAWデータの画像は味気ない?!

    普通のデジタル(コンパクト)カメラでJPEGデータで撮影した画像と ハイエンドデジタル(一眼レフ)カメラでRAWデータで撮影した画像と を比較すると 前者はめりはりの有る印象的な写真なのに対し後者は味気ない印象を 受けるという意見がよく聞かれます。
    これは”記憶色””期待色”の再現にかかわる話で、 色やコントラストはより誇張した方が一般受けする傾向にある というものに通じます。
    画像レタッチソフトを使った人であれば、ほとんどの人は経験した 事があると思いますが、初心者の頃って、色、コントラスト、シャープネス 等、ついつい誇張し過ぎていませんでしたか?
    そして経験を積むにつれて、誇張は控えめでなければいけない事、 いったん誇張された画像は元に戻せない事などをいろいろ学習していくわけです。
    そういう事情から味気ない控えめな画像ほど「プロ好み」と言われ、 それは味気ない控えめな画像をプロが最終的に求めているわけでは無く、 味気ない控えめな画像からでないとプロが最終的に求めている絵が作れない という理由からくるのです。
    味気ない控えめな色ほど実際の真の色に近く、 色彩豊かでメリハリのある色ほど、”記憶色””期待色”であり、嘘の色なのです。

    デジタルカメラの機種比較で、同条件で撮影したそれぞれの画像の比較がなさ れているものを見る機会がよくあります。
    ここで注意して欲しい事は、その比較画像は単なる一例でしかない事。 いわゆるフィルム銘柄による撮影画像サンプルの比較写真の例とは まったく意味の異なるサンプル写真である事を認識する必要があります。

    フィルムの場合、フィルムの銘柄を選択した時点で、写真の絵柄や発色の傾向は ほぼ決まってしまいます。(レンズや腕の要素もありますが) しかしデジタルカメラの場合、RAWデータで撮影しておけば、現像ソフトの 使い方次第で、いくらでも絵作り(レタッチ)ができるのです。

    カメラマンの立場として重要な事は、そのデジタルカメラが標準的な設定で どういう絵作りをするかという言う事では無く、自分の求めている 絵作りがより高品質でかつ効率的に可能なのかどうかという点なのです。

    私は今(2002年11月)、Nikon D100を使用していますが、Web上のBBS等ではよく 他社の同等クラスのCanon D60やFuji S2 Proに比べ、発色は地味でシャープネス が甘いという意見を目にします。しかし、それはあくまでもD100の標準的な設定が 控えめに設定にされているだけの話であって、鮮やかでシャープネスばりばりの 絵柄が好みであれば、そういう設定に変えればよいだけの話なのです。


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