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2002年11月28日
2002年12月9日(追記)

デジタル写真論

色の再現、色管理を理解する


    ■色の再現

      写真は、”真を写す”と書きますが、実はぜんぜん”真を写していない”という事は、 長年、フィルムで写真を撮てきて、ここを読まれている皆さんなら、当然ご存知のことと 思います。
      ぜんぜん”真を写していない”ことの代表が、色の再現です。
      人間が肉眼で見ている色彩や色の濃淡(階調)を、そっくりそのまま写真に記録する ことは、フィルムでも デジタルでも今の技術では出来ない事です。

      フィルムでもデジタルでも、光の受光可能な範囲(ダイナミックレンジ)が限られて いる為、 その限られた狭い範囲で、肉眼での見た目に似せて、写真の絵を作っているわけです。
      記憶色、期待色の項も参考にしてください。)
      その限られた狭い範囲での色の再現方法にも、さまざまな手法が存在し、それぞれ独自の 色の再現域があり、指標があるのです。それが色空間(カラースペース)と呼ばれる ものです。

    ■色空間(カラースペース)のいろいろ

      デジタルカメラで写真を撮り、パソコンに取り込み、画像ソフトで表示させ、 プリンターで印刷し、DTPで印刷所にデジタル入稿、等々とデジタル画像を活用しよう とすればするほど、色のイメージが正確に伝わらない事に悩むことになります。
      つまり、デジタルカメラで撮った写真の色のイメージが、いろんな作業工程を経るに従い 変わってしまうという問題があるのです。

      これは、色を表現する為の基準となる色空間(カラースペース)というものが多数存在し、 デジタル画像を扱う作業工程の変わり目で色空間(カラースペース)が変わってしまう 為です。
      この問題を解決する為に考え出されたものが、色管理(カラー・マネージメント)という システムです。

      色管理(カラー・マネージメント)を理解する前に、まず色空間(カラースペース)というものを理解する必要があります。
      色空間(カラースペース)とは、色を数値で表現する為の基準の事です。
      色というものは、パソコンのモニタで表示させる色と紙にカラー印刷して表示させる色とでは 同じ青色でも微妙に違う青色になってしまいます。このようにデバイス(モニタとかプリンタとか) ごとに少しずつ異なる色になる為、それぞれのデバイス毎に独自の色の基準=色空間を 持つことになるのです。

      パソコンで表示される色は、R(赤)G(緑)B(青)で表現されているという事は ご存知のことと思います。しかしRGBにもsRGB(Windows標準)、AdobeRGB(Adobe社の規格)、 AppleRGB(Macintosh標準)のように微妙に事なるものが複数存在します。最近のデジタル カメラやインターネットではsRGBが標準となっています。AdobeRGBは、sRGBより広域の色を 表現できるということで、一部のハイエンドデジタルカメラではサポートされていますが、 AdobeRGBを扱うには色管理の知識が不可欠となります。
      印刷業界では以前からCMYKが使用されてきました。RGBからCMYKへの変換は、単純な話では ないので、これは別の項で取り上げたいと思います。

      これらは全てデバイスに依存する色空間です。これに対し、デバイスに依存しない (つまり、絶対的な基準) の色空間があります。 それが、CIE(国際照明委員会)が規定したLab色空間で、現在「CIE L*a*b*」が 次に述べる色管理の基準となっています。

    ■色管理(カラー・マネージメント)

      このようにデバイス毎に勝手な色を使っていると、同じデジタル画像にもかかわらず扱う デバイスによって色がころころ変わってしまうので、ICC(International Color Consortium) が色管理の統一システムを確立させました。
      デバイスに依存しない絶対的な色空間にCIE L*a*b*を採用し、デバイスに依存する各々の色空間 は、CIE L*a*b*との色の対比表を細かくプロファイル化(これをICCプロファイルと呼ぶ) したのです。

      色管理(カラー・マネージメント)を理解し実践する事は非常に難しい事です。
      関連する専門書、インターネットサイトが多数存在しますので、ここでは 簡単な概念の紹介程度の話に留めさせてもらいます。

      そもそも色管理は、一般ユーザーが熟知して使いこなすものではなく、 一般ユーザーは何も意識することなく、自動的に行われるべきシステムなのです。 しかし、現状ではまだ色管理システムが不完全である為に、一般ユーザーも 多少の知識を持って、要所要所で意識して注意しなければいけないのです。

      そこで、カメラマンとして最低限知っておいた方が良いと思われるものだけを 私の独断でピックアップしてみました。

      • 色空間にはさまざまな種類があるという事を認識する
      • デジタルカメラでは普及機ではsRGB、ハイエンド機ではsRGBとAdobeRGBが当面は主流となる
      • 色管理をきちんと行うにはICCプロファイルを利用するという事を認識する
      • パソコンの画像ソフトでデジタル画像を扱う際にその色空間を意識する
      • パソコンの画像ソフトでデジタル画像を扱う際にはモニタの調整が重要となる
      • 印刷所へのデジタル入稿(RGB/CMYK)は、現状(2002/11)ではまだ特殊な作業となる

      という認識があればよいと思います。そして、

      • あまり難しく考えたくない時は、sRGB を使う。
         (最近のシステムは、とりあえずsRGBを前提として作られている)

      • 色管理がよく理解でき(ICCプロファイルの扱い方)、より高品質(広域の色再現)を求める時は、  AdobeRGB を使う。
      • RAWデータ記録で写真を撮る
         (RAWデータであれば、ソフトでの現像処理時に色空間の変更ができる)
      ということです。

      繰り返しますが、色管理(カラー・マネージメント)を理解し実践する事は非常に難しい事です。
      しかし、カメラマンが色管理(カラー・マネージメント)に精通しなくても、フィルム時代と同じ ようにいい写真は撮れます。
      ただカメラマンがデジタルカメラを使用するようになり、撮影後の後工程にもカメラマンが 気楽に手を加えられるようになった(これ自体は良いことです)結果、色管理(カラー・マネージメント) をまったく知らなくても良いとは言えなくなったのも事実です。
      ここでは、あまり詳しくは取り上げませんが、現在インターネットのサイトには色管理(カラー・マネージメント)を 詳しく解説したサイトが無数にあります。さらに興味のある方は下記のキーワードで検索していろいろ研究してください。

      (キーワード)
      sRGB、AdobeRGB、CIE L*a*b*、CMYK、sYCC
      CMS(カラー・マッチング・システム/カラー・マネジメント・システム)
      ICCプロファイル
      ColorSync (カラーシンク)
      ICM(イメージ・カラー・マネージメント)
      ガンマ

    【補足】水中の色温度/ホワイトバランス

      銀塩フィルムカメラに無くて、デジタルカメラに有る機能にホワイトバランス設定 機能があります。ホワイトバランス設定とは、撮影環境の光源の色温度を電気的に調整 する機能のことです。(ビデオカメラではおなじみの機能です。)
      色温度は、銀塩フィルムカメラでは、カメラ側で設定するのではなく、使用するフィルム (デイライト or タングステン)の選定で決まっていました。コマーシャル撮影 のように、より厳密な色再現が要求される場合は、プロラボ(現像所)のデータを元に 色温度変換フィルター(CCフィルター) により、さらに色温度の微調整を行っていましたが、水中写真においては、そこまで 厳密に色温度を調整する事はまったくと言っていいほど行われていません。
      この点では、デジタルカメラではカメラマンの意図どおりに色温度を非常に細かく調整 できるので、銀塩フィルムカメラより優れていると言えます。

      ここで、水中でのホワイトバランスについて、私なりの考察を述べてみます。
      まず、水中の色温度って、いったい何ケルビン(K)なのかご存知でしょうか?
      私も水中ビデオを始めた当時、水中の色温度について散々悩んだ経験があります。
      そこで、わかった事は、

      • 水中での色温度は、水面下数10cmでも10,000K近い。
      • 水中での色温度は、水深が深い程、著しく上昇する。(10,000K超越)
      • 水中での色温度は、撮影距離が遠い程、著しく上昇する。(10,000K超越)
      • 水中では、ストロボの色温度も撮影距離が遠い程、上昇する。
      • 水中では、ビデオライトの色温度も撮影距離が遠い程、上昇する。
      • 人間の目は、色温度を自動補正(つまりオートホワイトバランス)してくれるが  水深が深くなると人間の目も狂ってしまう。(つまり、白いものが白く見えなくなる)

      という事です。
      結局は、

      • 水中では、厳密なホワイトバランス調整は不可能である。
      • 水中では、自分の記憶色、期待色をもとにホワイトバランス調整をすれば良い。
      という事です。

      実際問題として、色温度10,000K越えの状態(つまり、ストロボやライト無し)の 水中では、もともとまともなカラーバランスではなく(つまり陸上とはまったく異なる色の世界)、 当然、その色を再現するビデオカメラやデジタルカメラもメーカーや機種により、全然異なるのが現状 です。ものによっては、オートホワイトバランスが最適(に見える)のもの、 デイライト(6300Kとか)が最適(に見える)のものというように、各自の感覚(記憶色、期待色) による好き好きで決めるしか無いというものです。
      これに、人工光(ストロボやライト)が加わると、ますます複雑になります。

      しかし、このような問題も、一眼レフデジタルカメラは、解決してくれました。 それはRAWデータによる撮影です。
      RAWデータは、CCD(or CMOS)の出力信号をA/D変換しただけの生データなので、 ホワイトバランス設定値による色の作りこみ処理がまだ行われていないデータなの です。
      つまり、パソコンでの現像ソフトの設定で、ホワイトバランス(色温度)を自由に設定できるわけです。
      私の場合、とりあえずカメラ側ではオートホワイトバランスに設定して撮影(当然、RAWデータです) 現像ソフトでの現像後、もしイメージに合わなければホワイトバランス(色温度)を設定し直す という方法を行っています。
      今のところ、Nikon D100ではオートホワイトバランスでほとんどイメージ通りです。
      明るい南の海でストロボを使用しない自然光撮影がどのようになるが、まだ未使用なので よくわからない状態です。ビデオの経験からすると6000K〜8000Kの間が無難な設定値のような気がします。

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