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2003年3月4日
2003年3月7日修正
2005年10月2日修正

デジタル写真論

デジタル入稿(CMYK,商業出版)を理解する


■RGB→CMYK変換

RGB→CMYK変換の話は、一般の方にはほとんど縁の無い話だと思います。
いわゆる印刷所で大量に印刷される出版物を作る際、入稿用の画像の形式 として一般的に使われている画像ファイルの色空間がCMYKです。

以降、ある程度のCMYKの知識がある事を前提に、書かせていただきますので、 「CMYKっていったい何?」という方は読み飛ばしてください。
読み飛ばしても、一般用途での使用範囲では、困ることはありません。

さて、本題です。
綺麗な水中写真の色はかなり彩度の高い色が多く、特に、気持ち良い ブルーの海の色は、CMYKの色空間では表現が非常に難しいとされています。
写真集や雑誌のグラビアに色鮮やかに印刷されたブルーの海の色を見て 「表現が非常に難しい色」といわれてもピンと来ないかもしれませんが、 もしオリジナルのポジフィルムと並べて比較できたとしたら、その 違いに驚くのではないでしょうか。つまり、こまかく色を見比べると 全然違う色なのに、写真全体の印象は、どっちも色鮮やかな綺麗な ブルーなのです。これは期待色という概念で、ポジフィルム上のRGBの色を 印刷所が巧みにCMYKの色空間に置き換えて作った色なのです。
ポジフィルムの場合、今では業務用の高性能スキャナーで、スキャン後、 CMYKデータが出力されます。なので、RGB→CMYK変換にそれほど頭を 悩まさなくてもよくなったようです。
(それでも、水中写真のブルーは苦労すると出版社、印刷所から聞きます。)
一方で、一般向けフィルムスキャナーの普及やデジタルカメラの普及 で、RGB色空間をもつデジタル画像を印刷原稿にする機会も増えました。

デジタル画像を印刷原稿として入稿する方法には大きく2通りの方法があります。

(1)自分でRGB→CMYK変換して入稿する。
(2)RGBで入稿して、出版社もしくは印刷所でCMYK変換してもらう。
※いずれの場合も色見本(プルーフ:高品質なカラープリンターで出力されたもの/ コンタクトシート:色見本と細かな印刷の指示のコメントが書かれたもお)を添える。

のが最近の方法です。

プロ用の画像ソフトのPhotoshopには、RGB→CMYK変換する機能があります。
しかし、CMYK色空間から大きくはみだしたRGB画像をCMYK変換すると、ぜんぜん 異なった(くすんだ、濁った)イメージのCMYK画像が生成されしまいます。(写真例中)
これをCMYK画像でも鮮やかに色に見えるように色を置き換える作業をするのです。(写真例右)


元のRGB画像
単純に
CMYK変換した画像
元のRGB画像の印象に
近付けたCMYK画像

上の写真は、RGB→CMYK変換のイメージを掴んで頂くために作ったものですが、実際 の作業は非常に難しい作業です。そもそもCMYKデータは、印刷所のシステムに依存 するデータなので、自分のパソコンのモニターで見て大丈夫だからOKで あると判断できない問題があります。
私が始めてCMYKデータの入稿に頭を悩ましたのが1994年が最初なのですが、 2003年の今でもDTP/印刷業界の最大の課題として未だに試行錯誤の 状態が続いています。

----------------(以降:2005年10月2日追加分)----------------

 ここ1〜2年、私が行ってきたデジタル入稿の経験を元に、私なりの考えを以下にまとめてみました。
まず、デジタル入稿(CMYKデータ入稿)を満足できる仕上がりを期待できる品質のデータで入稿する 為には、自分のパソコン環境で、CMYKでプリントアウトできる環境を作る事です。
つまり、CMYK印刷のシミュレーション環境を自分のパソコン&プリンターで実現する事で、実際の印刷の 仕上がりが予測できるのです。と、同時に自分でCMYKでプリントアウトしたものを色見本(カラープルーフ) として添付することで、印刷所もほぼ色見本通りの印刷を上げてくれるのです。

 「自分のパソコン環境で、CMYKでプリントアウトできる環境」を具体的に説明します。
 色管理(カラマーネージメント)をiccプロファイルで管理できる画像ソフト(Adobe Photoshop等)と マニュアルで色管理できるインクジェットプリンターを用意します。
CMYKのiccプロファイルは、何種類かありますが、「Japan Color 2001」が最適です。
(Japan Color 2001については、ここでは詳しく述べません。検索エンジンで検索すると詳しい解説ページ が沢山ヒットします。)
Adobe Photoshop CS以降では標準でサポート、それ以前のバージョンでは、
Adobeのホームページ からICCプロファイルを無償でダウンロードでるので、それをシステムにインストールします。

次に写真データ(おそらくRGB系カラスペースの画像データ)をAdobe Photoshopの「プロファイル変換」機能 により、Japan Color 2001へ変換します。
プロファイル変換
最初のポイントは、RGBからCMYK(Japan Color 2001)へ変換した時の写真のイメージが良いイメージ(色) のまま保たれたか?という点です。特に鮮やかなブルー系の水中写真はこの変換時に色がくすみがちで、 このまま印刷原稿として入稿しても決していい結果は得られません。
では、この場合どうすればいいのでしょう? 方法は2つあります。

【方法1】元のRGBデータを見直す。

    デジカメで鮮やかな仕上がりに設定されているとCMYKの色域からはみ出した鮮やかな色が使われる為、色彩を 抑えた落ち着いた仕上がりのRGB元画像を用意する。
【方法2】CMYKデータを綺麗に見えるように作り変える。
    変換後のCMYKデータをPhotoShopの色調調整機能を屈指して綺麗に見えるように作り変える。
    モニター上で綺麗に見えないものは、印刷しても綺麗にならないので、モニター上で綺麗に見えるよう がんばって調整することです。
モニター上で綺麗に見えるCMYKデータを作れれば、もう完成したも同然です。
あとは、CMYKデータをそのまま、つまり「Japan Color 2001」のまま出力するだけです。
この時に気をつける事は、プリンターまかせの自動色調整にしない事、つまり、マニュアルで色管理を行う事です。
具体的には、PhotoShopの印刷プレビュー画面で、カラーマネージメントのオプションがあるので、
ソースカラースペースを Japan Color 2001(用紙の種類が3種類あります)、
プリントカラースペースを プリンタ機種と出力用紙に合わせたiccプロファイルを指定します。
(下例は、EPSON PM-4000PX で PM/MC写真用紙のiccプロファイル)
カラーマネージメント
もうひとつ重要な設定として、プリンタのドライバの詳細設定で、カラー調整で「色補正無し」を選ぶことです。
(下例は、エプソン PM-4000PX のプリンタドライバのプロパティ)
マニュアルプリント
以上により、CMYKデータのままのプリントアウトが実現できます。
もし、この時、印刷結果とモニターでの見た目が著しく異なっていたとすれば、それは、モニターの キャリブレーションがかなりずれています。モニターのキャリブレーションを厳密に行うツールは ありますが、水中写真や風景写真のような厳密な色再現が重要というより見た目の綺麗さが重要という ような用途では、AdobeガンマやAppleのColor syncでの調整レベルでも十分だと思います。

私の場合、以上のような手順でCMYKデータを作成し、プリントアウトしたものを色見本とし入稿することで、 なんとかイメージ通りの色の印刷結果仕上がるようになりました。

    【補足】カメラマンがCMYKデータを作ってよいものか?

      銀塩フィルム時代、少なくともフィルム入稿ではカメラマンにとって、 印刷の工程は、まったく無縁の世界でした。もともとCMYK変換(四色分解)は 製版の現場での仕事(役割)です。しかし、PCが普及し、まずデザイン の現場がDTPによるデジタル化が進み、そして、デジカメが登場し、 カメラマンの現場もデジタル化されました。
      デジタル化は進みましたが、現状は決して100%デジタル化されたわけでは ありません、まだまだフィルムは主流であり多くのデザイナーや印刷所もデジタル化 への移行過程という段階です。
      カメラマンがデジカメで撮影し、データ入稿しても、必ずしも下工程のデザイナー、印刷所が十分 な対応できるわけでは無いのです。
      つまり”過渡期”の今だからこそ、カメラマンがCMYKデータを作るといった変則的な 対応もやむをえないのだと、私は考えています。
      あと数年もすれば、カメラマンがCMYKデータを作って入稿という事はなくなるでしょう。 むしろ、CMYKデータで入稿すると印刷所から怒られる時代になるかもしれません。

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